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泉山塁威准教授の2023年度担当授業と教科書・参考書

2023.04.13

泉山塁威准教授の2023年度担当授業と教科書・参考書を紹介します。

※本記事は、noteにも転載しています。

2023年度担当授業
2023年度担当授業は、以下のとおりです。

都市系科目
・3年前期:都市計画Ⅱ
・3年後期:建築設計Ⅳ(都市開発系課題)
・4年前期:建築計画特別講義(担当:13回)
・大学院:都市デザイン特論

その他科目
・1年前期:デザイン基礎Ⅰ
・3年後期:建築学キャリアデザイン
・4年:建築学総合演習
・4年:卒業研究・設計

ここでは、都市系科目の授業概要と教科書・参考書について紹介します。

1.3年前期:都市計画Ⅱ
都市計画Ⅱは、学習到達目標を以下のように定めています。
「都市計画Ⅰを踏まえ、都市のデザイン・マネジメントに重点をおき実空間での適用をふまえて概説する。都市デザイン(Urban Design)や都市再生・パブリックスペース・エリアマネジメントの側面から都市を捉え、さらに都市空間の調査・分析手法について実例などをふまえて都市に関する基礎的な知識を得る。 本授業科目はDP1・2・3・5・6及びCP1・2・3・5・6に該当する。」

都市計画Ⅱのシラバスはこちらです。(1組・2組内容は同様です)
この科目は、旧カリでは、都市デザインという科目でした。都市計画の法制度だけでなく、都市デザイン・マネジメントの視点で、空間と仕組みを理解してほしいという科目の意図があります。さらに、建築設計Ⅲのスケジュールとも連動して、都市空間の調査・分析手法も実例とともに紹介し、リサーチ手法も併せて学修します。

1−1.教科書

▶︎この本は、授業後半で紹介する「エリアマネジメント」の考え方と事例を紹介した教科書であり、ケースメソッドというMBAの授業方式を取り入れ、事例から学ぶというものです。これまでの都心中心のエリアマネジメント事例ではなく、都心のほか、地方都市、住宅地の事例を網羅的に紹介しています。tエリアマネジメントの仕組みだけでなく、どんな人が実践しているのか、パブリックスペースでどんなことをしているのかも紹介しています。「エリアマネジメント」の回以外にも随所に出てくるパブリックスペース事例や都市再生、中心市街地再生の考え方にも理解の深まるものです。

▶︎この本は、授業後半で紹介する「パブリックスペースの理論と実践手法」(タクティカル・アーバニズム、プレイスメイキング)について紹介しているものです。特に、トップダウンではなく、ボトムアップでどのようにパブリックスペースや都市再生・中心市街地再生を行っていくかについて、体系的な理論と実践、ツールなどを紹介しています。これ以外にも、洋書の邦訳本「タクティカル・アーバニズム・ガイド 市民が考える都市デザインの戦術」(マイク・ライドン, アンソニー・ガルシア著, 大野千鶴翻訳, 泉山塁威, ソトノバ監修、晶文社、2023年)もまもなく出ますので、さらに海外の事例やストーリーも気になる人はぜひご覧ください。

以上の教科書は、授業内で使用・解説するほか、予習・復習として活用するとより理解が深まるものとして紹介しています。

1−2.参考書

▶︎この本は、人が中心の都市や街、パブリックスペースのあり方、考え方を解説したものです。人と人のコミュニケーションの距離、人が感じる建築、都市のスケール感など、人中心の都市デザインやパブリックライフの基本的な考え方や評価基準などがまとめられています。リサーチレポート課題にも役立つでしょう。

  • ヤン・ゲール、ビアギッテ・スヴァア著、鈴木俊治、高松誠治、武田重昭、中島直人翻訳 『パブリックライフ学入門 [ISBN 978-4306073265]』 鹿島出版会 2016年

▶︎この本は、パブリックライフの基本的な考え方から、どう調査し、評価するのかなどの具体的なパブリックライフ・リサーチ・評価手法がまとめられています。学生の課題にも実務にも役立つ必携書です。リサーチレポート課題にも具体的に役立つでしょう。詳しくは、第3回でも関連情報は紹介します。

▶︎この本は、ソフトシティ、つまり柔らかい都市の考え方を説いている。スマートシティなどの技術や手法先行ではなく、本来持つべき人が中心の都市計画・都市デザイン、人の暮らし方など多岐にわたる分野にも通づる、都市として大事な考え方です。ストリートやパブリックスペースだけでなく、ウォーカブルシティや1階などのグランドレベル・アイレベルなどにも通づる内容です。
参考記事:https://sotonoba.place/softcitybook-review

2.3年後期:建築設計Ⅳ(都市開発系課題)

建築設計Ⅳのシラバスはこちらです。

▶︎この本は、都市開発、都市再生、大規模な建築設計などの基本的な考え方から法規などが辞典のように詳しく掲載されています。建築設計Ⅳ(都市開発系課題)では、総合設計制度などの都市開発諸制度を使う規模になっており、それらの詳細な条件や計算も求められます。それ以外にも基本的な建築法規、駐車場などの条例や制度など関係法規を調べて、建築設計の条件などを整えていきます。少し粘度が古いですが、詳細版の最新号がこちらなので、本書を教科書に指定しています。最新情報は、入門版もあるので、最新のトピックや情報を知りたい場合は、都市・建築・不動産企画開発マニュアル入門版2022-2023も見てみるといいかもしれません。

▶︎この本は、建築設計資料集成の中でも、都市再生に特化したもので、大規模な建築やストリート、広場、河川、ランドスケープなどが事例と図面資料、時には人のアクティビティの密度などもまとめられており、都市デザインや大規模な建築設計を行うにあたり、非常に参考になる資料です。

3.大学院:都市デザイン特論

都市デザイン特論のシラバスはこちらです。

▶︎この本は、都市計画・都市デザインの名著です。原著は1960年代ですが、今でもジェイン・ジェイコブスの考え方は多くの人に影響を与え、今の都市デザインにおいても基本的考え方の一つになっています。授業では、第2回「ジェイン・ジェイコブスのアメリカ都市論」で紹介します。パブリックライフ、プレイスメイキング、タクティカル・アーバニズム、ウォーカブルシティなどこれから学修する都市デザインの基本的な考え方を身につけよう。

▶︎都市計画Ⅱと同様の参考書です。この本は、人が中心の都市や街、パブリックスペースのあり方、考え方を解説したものです。人と人のコミュニケーションの距離、人が感じる建築、都市のスケール感など、人中心の都市デザインやパブリックライフの基本的な考え方や評価基準などがまとめられています。特に、第3回「ヤン・ゲールのPublic Space Public Life」で紹介します。

▶︎この本は、アメリカで展開されたニューアーバニズムの考え方、理論や手法などがまとめられたものです。特に、第4回「ニューアーバニズムの展開」で紹介します。近年の都市デザインの基本的な考え方の一つであり、TOD:公共交通指向型開発などアメリカを中心に世界中の都市デザインの基本になっています。

▶︎この本は、授業の第9回「タクティカル・アーバニズムの展開」について紹介しているものです。特に、翻訳本のため、タクティカル・アーバニズムの着想や着目したきっかけのストーリー、これまでのタクティカル・アーバニズムの事例、最新の海外事例、具体的な手法などがまとめられています。

▶︎都市計画Ⅱと同様です。この本は、授業の第9回「タクティカル・アーバニズムの展開」について紹介しているものです。特に、トップダウンではなく、ボトムアップでどのようにパブリックスペースや都市再生・中心市街地再生を行っていくかについて、体系的な理論と実践、ツールなどを紹介しています。

▶︎この本は、授業の第10回「Street as Places|居場所としてのストリート」に特に関係するものです。ストリートデザイン・マネジメントの理論や実践事例が体系的にまとめられているものです。パークレットやアクティビティ調査、プレイスメイキングなどStreet as Placesを考える上で必要な理論や実践事例が参考になると思います。

以上が2023年度の担当授業の教科書、参考書の紹介でした。まずは授業に関係する資料を手に入れ、自ら予習・復習に役立ててください。授業内でも他の参考情報は紹介します。
これ以外にも都市計画・都市デザインには多くの本があります。大型書店の専門書棚やアマゾンなどで検索するなど、自身の興味のある本を読み進めていくのは、都市計画・都市デザインの基本です。ぜひ、ひとつひとつインプットをしていきましょう。

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