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MAGAZINE

都市計画研究室(泉山ゼミ)2024年度の総括

2025.04.07

はじめに

 今回は、都市計画研究室(泉山ゼミ)准教授の泉山先生、学部4年生(以下、B4)、博士前期課程2年生(以下、M2)、各プロジェクトリーダー、プロジェクト総監督のみなさんに、これまでの活動を振り返って、研究の感想や後輩に向けたメッセージをいただきました。2024年度3月号のマガジン記事では、2024年度で卒業するB4・M2のゼミ生を中心に2024年度の総括を行っていきます。
※現在2025年度になりましたが、2024年度に学生へ取材を行ったため、2024年度3月号マガジンとして投稿いたします。なお学年表記は取材当時のものになっております。


泉山塁威先生

2024年度の活動について振り返る泉山先生


2024年度の総括

♢研究について
2024年度は、学会の審査付き論文を第一目標としていたことに自然と学生が付いてきてくれて良かったです。新たな取り組みである、年末に開催した都市計画研究室(泉山ゼミ)OBOG研究交流会では、実際に現場で都市計画に携わるOBOGの方から意見を貰って良い刺激を得ることができました。また、2024年度から研究室会議をエスキスと発表会形式に変更しました。発表の回数が2週間ごとに行われていたのが、1ヵ月に1回に減少したことで発表の機会が減ったことが気になりますが、思考力については、エスキスを通して高めることができたと感じています。
♢研究テーマに関して
ほこみち、Park-PFI、エリマネなどの従来の研究テーマに加え、マーケットや気候変動などの新しいテーマが出てきた点が良いと感じました。修士論文では、吉田鉄郎賞という最高位の結果が得られました。M2、M1、B4という3学年に渡るユニットでの活動を通して、厚みのある研究ができたと感じています。
♢プロジェクトに関して
2024年度は、自分たちが何をやりたいかを提供していく必要がある環境の中で、もう少し主体的な行動が見たかったです。もっとプロジェクトを自分たちのものという意識で動かしていくことで改善できると感じました。秋葉原プロジェクトは非常に忙しかったですが、実践の中で様々な経験を得られました。大学院の授業でも建築学プロジェクトという授業がある中で、就活とプロジェクトを両立させたことは素晴らしかったです。M1は大変な時期なので、B4、B3で支えていくことが大切であると思います。また、2023年度のプロジェクト成果を学会論文に提出したことも良かったです。

マガジン係からの質問

Q:学生の意識が学内から学外の賞に変化したと実感できた瞬間はありますか。
A:秋の卒業論文中間発表会後の臨時研究室会議で、学内の桜建賞と学会の審査付き論文のどちらが優先度が高いか学生に聞いたときに、審査付き論文を目指したいという声が多かったのを覚えています。OBOGや大学院生の先輩達が論文を学会に投稿する姿を身近に見てきたことが、学生達への意識に変化をもたらしたのではないかと思います。学会論文になることで、自分のクレジットでアウトプットすることと、自分の研究が次の人の研究に繋がっていくという点にも惹かれたのではないかと思います。

Q:各学年の特色と改善点について教えてください。※学年表記は取材当時のもの
♢M2
吉田鉄郎賞という結果を出せたのが、良かったと思います。泉山ゼミの中で初めて上に先輩がいる世代だったので、先輩の背中を見たことで得られた経験が大きかったと感じました。全体的に修士論文のレベルが高かったことが誇らしいですが、学外でも活躍できる人たちだと思うので、学内で満足してほしくなかったという気持ちもあります。
♢M1
研究の進捗にバラつきがあるのが気になりますが、卒論と同じレベルの論文をM1の段階で終わらせている人がいるのは素晴らしいです。また、個々の成長が見られました。
♢B4
准教授になって初めての配属枠の代で、配属人数が15人という大人数でした。全体的に優秀で、人としてちゃんとしている印象が強いです。しかしながら、パブリックマインドが低く、もっと自分以外にも関心をもって研究室を改善していってほしいという気持ちもあります。優秀だからこそ、もっと貪欲さがないと都市系の仕事で生きていくには厳しいと考えます。
♢B3
初めて泉山ゼミがゼミ配属して定員割れした代です。個人で差が出てきてしまっているため、学年全体としてはもう少し頑張っていく必要があると考えます。しかしながら、建築設計Ⅳ(都市開発系)は全体的にレベルが高く、模型や事業収支まで手を出したのは素晴らしかったです。先輩たちを超えていくという姿勢が見られました。

Q:准教授になったことによる変化はありますか。
A:卒論に関しては、そこまで負担は変わっていませんが、M1の人数が増えたことですかね。また、研究室会議の時間が長くなってきました。あとは、大学院の授業(都市デザイン特論、建築学プロジェクト)が本格的に始まってきたことで、大学院教育と研究がリンクしてきているところも個人的には大きいです。

Q:都市的雑談について詳しく教えてください。
A:自分の研究テーマについて語れるのはもちろんですが、本やセミナーで収集した情報を自分の言葉で話せるようになると良いと思います。就職した際に、仕事には直接は関係しませんが、業界の話をすることが求められますので、ゼミの中で練習することが今後の仕事に役立つと考えています。

泉山先生へのインタビューを通して

2024年度の活動について泉山先生に話を伺ったことで、2024年度の活動を振り返るとともに、2025年度以降の活動に向けての改善点を把握することができました。泉山先生にインタビューで伺った話を踏まえて、2025年度以降の活動に繋げていきたいと思います。


B4

卒業論文最終講評会を終えた学部4年生


マーケット(児玉陽斗・細矢瑞稀)

♢卒業研究のテーマ
東京23区の公共空間における「マーケット」の類型化及び空間利用特性
-147事例の運営傾向及び配置計画の分析-
♢卒業研究について
自分たちは、他の班に比べて早い段階でテーマの大枠を決めることができたと思います。しかし、テーマは決まったものの、その研究の意義やなぜ取り組む必要があるのかという点については、最後まで試行錯誤を重ねました。具体的には、「東京23区のマーケットにはどのような課題があるのか」といった問いを、先生や先輩方から毎回投げかけられていたように感じます。しかし、研究を進める中で、実際にさまざまなマーケットに足を運び、都市の中に雑多に存在するマーケットの魅力に触れることで、それらの魅力や課題を深掘りすることの楽しさに気づくことができました。結果として、この研究は非常に意義深いものになったと感じています。
♢後輩に向けて一言
研究を「やらされてる」のではなく、「自分たちがやる」という姿勢を忘れないで、先生や先輩たちにどんどん立ち向かっていこう!

公園(坂本愛佳・鈴木雷真)

♢卒業研究のテーマ
Park-PFIにおける周辺環境を含めた「パークプランニング」手法
-全国83公園の公募対象公園施設の分析を通して-
♢卒業研究について
私たちのユニットは他と比べて研究テーマの決定が早かったため、問題意識の深掘りや調査に十分な時間を割くことができました。時間的余裕がある一方で、研究の意義や分析項目の妥当性について日々議論を重ね、卒論提出の2日前まで確定していませんでした。やりがいを感じた場面は、自分たちの調査が目に見えて積み重なっていくのを実感した時です。私たちの研究は図面や地図に情報を落とし込みながら進めていたため、それらが完成し、印刷された資料を手に取った時の達成感は今でも鮮明に覚えています。
♢後輩に向けて一言
研究ペアはもちろん、ゼミ生全員と家族よりも長い時間を研究室で過ごすと思います。辛いと感じる時もあるかもしれませんが、ぜひ先生やゼミ生を頼りながら、研究の面白さを見出していってください。最後には素晴らしい経験として良い思い出になることを願っています!

気候ウォーカブル(柴田拓馬・鈴木翔太)

♢卒業研究のテーマ
東京都心部における気候変動を考慮したストリートの整備に関する留意点
-日本橋一之部地区における夏季の暑さ指数と温熱快適性に着目して-
♢卒業研究について
約1年間の研究活動を通じて、都市に関する知識や論理的思考力が身につき、大きく成長できたと感じています。泉山ゼミで初めて取り組んだ「都市×環境」の分野では、問題意識や調査方法に多くの壁がありましたが、先生や先輩方からのアドバイス、ユニット内での議論を通じて乗り越えられました。この研究は多くの方々の協力のおかげでやり切ることができました。協力いただいた全ての方に感謝しております。
♢後輩に向けて一言
多くの壁や悩みに直面すると思いますが、そんな時はみんなで助け合って研究して下さい!楽しんで!

ほこみち(原田夏実・吉田明斗)

♢卒業研究のテーマ
歩行者利便増進道路制度導入に向けた「エリア計画」の活用可能性
-「エリア計画」の活用傾向及び道路管理者の留意点の分析を通じて-
♢卒業研究について
大変だったことは、研究テーマが決まらないことでした。明確にゴーサインがでないまま見切り発車を繰り返して進めたようにも思います。圧倒的にインプットと作業が足りてなく、視野を広げれなかったことが原因かと考えています。楽しかったことは、同期との切磋琢磨や息抜きが印象に強いです。また、アンケート調査で問題の核心に迫れたことに研究のやりがいと面白さを感じました。
♢後輩に向けて一言
苦労するとは思いますが、密度の高い1年になると思いますので常にチャレンジする気持ちで挑みましょう!

地方都市(本田薫子・山之内陽起)

♢卒業研究のテーマ
地方都市中心市街地における戦略・戦術を統合した複数のパブリックスペース活用の可能性
-熊本市中心市街地地区をケーススタディとして-
♢卒業研究について
大変だったことは、問題意識です。研究テーマがどれだけ優れていても、「それの何が問題なのか」がなくては研究ができないですし、初見の人からの共感が得られないことが多いです。楽しかったことは、現地での調査が印象深いです。地方都市を研究する強みは、現地に降り立ち、課題感の違いや新たな知見を目で確認することで研究の質を上げられることだと思います。また、研究とは言え旅行の気分を味わえるのも良さの一つです。
♢後輩に向けて一言
研究ペアは、1年間苦楽を共にするパートナーなので、「持ちつ持たれつ」の関係で最後まで頑張って下さい!

駅前広場(山本里輝・吉田薫澄)

♢卒業研究のテーマ
駅前広場における環境空間の構成要素の特徴及び課題
♢卒業研究について
大変だったことは、全国の駅前広場から研究の対象を絞ることでした。この研究で何を分析するか、アウトプットとして何を言いたいかがある程度明確でないと、研究対象を選定するのが難しいと思います。しかし、ユニットに限らず先輩方と一緒に議論して研究を進められたことはとても心強く楽しい思い出にもなっています。駅前広場の環境空間には何が必要であるのか、何が求められているのかを探ることができたことにやりがいを感じています。
♢後輩に向けて一言
研究が中心になりこれまでの大学生活より大変な1年になると思いますが、ペアと協力しながらスケジュールやタスクを管理して計画的に研究を進めましょう!

エリマネ(吉岡知輝・阿部真実)

♢最終的な卒業研究のテーマ
大都市都心部におけるエリアマネジメント広告事業の実施傾向及び収益性
-東京都23区内のエリアマネジメント団体を対象として-
♢卒業研究について
私たちの研究で最も大変だったのは、ヒアリング調査の実施と、その結果をアウトプットとしてまとめる作業でした。私たちは9団体に対してヒアリング調査を行いましたが、調査計画の立案や実施に多くの困難があり、もっと検討すべき点があったのではないかと後悔する部分もあります。しかし、ヒアリング調査を通じて現場の生の声を直接聞く貴重な機会に恵まれたことで、研究に対する問題意識を一層深めることができ、楽しく貴重な経験にもなりました。
♢後輩に向けて一言
大変ではありますが、色んなことが経験できるのが、泉山ゼミの魅力だと思いますので、受け身にならず自分のやりたいことを最後までやり遂げてください。

ウォーカブル(三河惟彦)

♢最終的な卒業研究のテーマ
アイレベルの民有地に着目した「事業立案プロセス」の留意点
-一体型滞在快適性等向上事業12事例及びウォーカブル推進税制8事例の分析を通して-
♢卒業研究について
大変だったことは、研究テーマを定めることと、調査です。私の場合は、研究テーマを明確にすることができず、問題意識と調査内容を決めるのに時間を割きすぎてしまい、スケジュールがギリギリになってしまいました。研究テーマや問題意識を醸成するには、テーマに関する最新の記事や最新の論文をしっかり読むことが重要だと痛感しました。楽しかったことは、調査対象をまとめたり、実際に訪れたりなど、リアルに触れるタイミングに、面白さややりがいを感じました。
♢後輩に向けて一言
問題意識に時間を割きすぎず、調査内容は先々に検討して先輩にぶつけましょう。受け身でいると9月まで研究できるようになってしまいます。


M2

修士研究(修士論文/修士設計)審査会を終えた博士前期課程2年生


小野寺瑞穂

♢修士研究のテーマ
エリアマネジメント団体との連携有無からみたエリアプラットフォーム団体の特徴 
 -全国74 団体の分析及び事例研究を通して-
♢修士研究について
私は卒業研究の延長として修士研究に取り組みました。文献だけでは対象団体の情報を思うように収集できなかったため、実務者が集まる場を企画しました。そこで実際の現場の話を聞けたことで、研究の質やモチベーションを高められたと思います。正解がなく全てが特殊解であるエリアプラットフォーム団体について、どう分析し、結論に落とし込むかは最後まで悩みました。それでも、図に落とし込みながら共通要素を探したり、様々な論文を読み込んでイメージを膨らませたりする中で、納得のいく修士論文に仕上げることができたと思います。また、後輩たちと研究について議論したことで、時には自分の研究を客観的に見つめ直しながら進められました。
♢これまでの研究室を振り返って
これまでの3. 5年間、非常に充実した日々だったと感じています。研究やプロジェクト、研究室での行事などを経験する中で、さまざまな立場の方と関わり、現場の実態を知ることが出来ました。特にプロジェクトでは、少しずつ変化するまちの様子を体感できたことが、今後社会人として現場に関わる上で、大きな経験になったと思います。また、他大学の学生との交流もあり、学びに加えて自分をより知るきっかけにもなりました。
♢後輩に向けて一言
論理的思考も実践力も鍛えることができる研究室なので、何事にも積極的にチャレンジして欲しいと思います!

倉田晃輔

♢修士研究のテーマ
都心商業地における「カーブサイド道路」の活用手法
-道路ネットワーク及び活用実態による分析-
♢修士研究について
私は、修士課程から泉山ゼミに入りましたが、M2の6月頃まで研究テーマを決めきれず、同期と比べて進捗が遅れていたと思います。決してM1の間に何もしてなかったわけではありませんが、自分の力不足を痛感する日々が続き、時には落ち込むこともありました。しかし、その分6月以降は調査に本格的に取り組み、作業を進める中で研究が前進する実感を得られた時は、大きな達成感や楽しさを感じました。また、私はM1の頃から人に頼ることが苦手で、一人で抱え込んでしまうことがありましたが、M2は沢山の人と議論を進めることで、自分にはない視点や考えを貰い、研究の質を高めることができました。最後に、研究にご協力いただいた全ての皆様に心から感謝いたします。
♢これまでの研究室を振り返って
泉山ゼミは、高い意識を持った人が多く、そうした仲間と切磋琢磨しながら取り組めたことで、充実した2年間を過ごすことができました。研究面だけではなく、人間性や思考力など様々な面で成長できたと感じております。特にプロジェクトでは、多くの方々にご迷惑をおかけする場面もありましたが、実践経験を通じてプロジェクトマネジメント力やタスク管理能力といった、社会人で求められるスキルを鍛えることができました。
♢後輩に向けて一言
泉山ゼミの特徴の一つは、先輩・後輩の関係が深いことだと思うので、ぜひ多くの人に頼ってください!

竹中彩

♢修士研究のテーマ
Park-PFI事業における地元企業の参画及び役割
-パークマネジメント体制及び事業者の取組みに着目して-
♢修士研究について
Park-PFIを活用する公園における地元企業の参画に関する研究を行いました。2年間、ひとつのテーマを追求する時間は、非常に貴重なものでした。正解がない中で研究を組み立て、考えを図に落とし込むことや人に伝える難しさもありましたが、専門性を持てたことは自身の強みにつながりました。また、調査やセミナー等を通じて、公園の事業者や自治体の方々と出会い、現場のリアルな声に触れられたことも有意義な経験でした。そしてなにより、後輩たちとの議論を通して前向きに楽しく研究を進めることができ、これは研究の質を高める上でも大きかったと感じています。研究に関わってくださったすべての方々に心から感謝しています。
♢これまでの研究室を振り返って
ゼミ活動のすべてが自分にとってチャレンジングな経験であり、大変だと感じることもありましたが、多くの方々との出会いや支えのおかげで、楽しく充実した時間を過ごすことができました。とくに、研究やプロジェクト活動以外でも、今後社会人として必要な姿勢や自身の考えを広げる多くの学びを得ることができ、自分自身の成長にも大きくつながったと感じています。
♢後輩に向けて一言
ゼミでの生活は常に選択肢が多いです。自分で考え、先生やゼミ生にも相談し、悔いが残らないように過ごしてください。

飛田龍佑

♢修士研究のテーマ
歩行者利便増進道路制度の課題及び展望
-コロナ道路占用特例からの制度移行を通じて-
♢修士研究について
私は卒業論文からの継続研究だったため、前提知識を持ったまま修論に挑むことができました。ただ私の場合、最も苦労したのは調査対象の多さでした。私が調査対象としたのは、コロナ道路占用特例を活用した路線の道路管理者でしが、コロナ道路占用特例の活用実績については、文献上で一覧化されていなかったため、自分で情報を収集する必要がありました。結果として、対象をウォーカブル推進都市である400自治体に絞りましたが、調査依頼をするだけでもかなり時間がかかってしまいました。しかし、その調査を乗り切ることができたのも、先生や同期、後輩の支えがあったからだと思います。お陰様で最善を尽くすことができました。皆には本当に感謝しかないです。
♢これまでの研究室を振り返って
この3. 5年間はこれまでの人生で最も濃密だったと思います。挑戦することで新たな人間関係が開けたり、評価されたりする嬉しさを感じたり、一方で、思うような結果が出ず、プロジェクトメンバーとぶつかり悔しい思いをしたりなど、いい意味で天国も地獄も味わったような日々でした。そうした日々が自分自身の成長するきっかけになったのだと感じています。
♢後輩に向けて一言
ゼミには、先生や先輩、同期がいつでも誰かしらいます。もし、思いつめたり悩むことがあったら是非人を頼ってください。あまり一人で抱え込まずに、皆と協力して、様々な挑戦を楽しんでください!

福井勇仁

♢修士研究のテーマ
Pedestrian Street Hierarchyを用いた都心部街路ネットワークの特性
-メルボルン市CBDの政策体系及び空間的特徴の分析-
♢修士研究について
卒業論文で芽生えた日本の問題意識から、海外の先進事例から学ぶ必要性を強く感じ、修士研究を行いました。英語文献の精読や日本とは異なる社会背景の理解など、多くの課題に直面しました。海外で得られた分析結果を日本にどう応用・適用するか については、研究の最後まで悩み続けました。しかし、正確に情報を読み取る力や、社会背景・風土の違いを正確に見極める経験は、海外事例を対象としたからこそ得られたものであり、非常に満足しています。また、研究が煮詰まった際には、志の高い同期や後輩たちとの議論が大きな支えとなりました。異なる視点や意見に触れることで、行き詰まっていた思考が整理され、新たな方向性が見えてきたことも多々ありました。心から感謝しています。
♢これまでの研究室を振り返って
この3年半は、非常に濃密で充実した時間 だったと感じています。志の高い先生やゼミ生と切磋琢磨できる環境は、自分の専門性を磨くうえで最高の場でした。プロジェクトや研究、ゼミ行事など、さまざまな経験を積む中で、社会人として必要なスキルはもちろん、他者との関わり方や人として大切なことも多く学ぶことができました。
♢後輩に向けて一言
泉山ゼミには、自分を大きく成長させる機会(チャンス)が数多くあります。この貴重な機会を逃さず、何事にも積極的に挑戦してほしいと思います。応援しています、ファイト!


プロジェクト

都市計画研究室(泉山ゼミ)では、実践の現場に触れる機会のひとつとして、プロジェクト活動が存在します。都市開発の構想、ストリートやパブリックスペースのリサーチ、プレイスメイキングのプロセス、エリアマネジメントの提案などを行っていきます。そんなON THE PROJECTで実践経験を積みながら、研究と横断しながら活動をしています。2024年度では、①秋葉原ウォーカブルプレイスメイキングうつのみや高架下スタディーズ の3つのプロジェクトに取り組みました。プロジェクト総監督と各プロジェクトリーダーから話を伺い、2024年度のプロジェクト活動を振り返っていきます。

総監督(菅原悠希)

♢プロジェクト活動全体の総括
2024年度のプロジェクト活動では、高架下・宇都宮・秋葉原の3つのプロジェクトに取り組みました。それぞれが基礎的なリサーチやビジョンの作成に向けた実証実験、ビジョンで定めた将来像の実現に向けた取組みなど、異なる段階にあり、まちづくりの多様な段階に対し向き合うことができました。また、他大学と実施した合同プロジェクト報告会では、意見交換を通じて、異なるプロジェクトの進め方や視点に触れ、自らの手法を見直す機会にもなりました。各プロジェクトを通じて、調査・提案・実践を横断的に学び合い、都市を多角的に捉える力を高めた一年となりました。
♢後輩に向けて一言
これまでのやり方にとらわれず、新たな視点で地域や課題に即したやり方を模索していってください。

秋葉原ウォーカブル(佐野充季)

♢1年間の活動内容を振り返ってみて
本プロジェクトは、主に秋葉原ジャンク通りでの社会実験の企画検討や協議・運営・報告書作成を行いました。社会実験の実施には、企画内容から企画で使う什器の種類、ポスター作成等の広報など多様な側面での検討や細かな調整が必要で準備が遅れてしまったこともありましたが、現状の全体タスクの整理、提出から逆算した細かな目標設定、メンバーの得手・不得手を考慮した作業分担を行い、なんとか全員で社会実験の実施に漕ぎ着けることができました。振り返ると大変なことが沢山ありましたが、自分たちで社会実験を行う対象地を選び、取り組み内容を提案・協議し、実施まで行うなど主体的にプロジェクトに参加し、多くの経験を積むことができた1年でした。

プレイスメイキングうつのみや(深津壮)

♢1年間の活動内容を振り返ってみて
2024年度は現地でのフィールドサーベイやまちなかでのアンケート調査を行い、宇都宮中心市街地のパブリックスペースの使われ方や印象などを把握することができました。活動から4年近くが経過し、パブリックスペースの将来像とその実現アクションを示す「プレイス・ビジョン」を策定しましたが、その実現はまだまだ先のように感じます。今後のプレイスメイキングの実行により、まちなかの空白部分を徐々に住民の居場所へと転換していきたいと考えます。また、本プロジェクトの成果として過去の活動内容を1本の論文として投稿しました。実践だけではなく、学術的な視点での発信を行うことで、全国的に意義のあるプロジェクトにしていきたいです。

高架下スタディーズ(橋本瑛)

♢1年間の活動内容を振り返ってみて
高架下の活動は、現場で感じた課題や特徴から「高架下をまちに開く」とは何なのかを考え調査した内容を報告書にまとめました。現地で感じたものをどのように提案に活かすのかを模索し、報告書作成したことは個人としてのスキルアップだけでなく、自分がその空間を見てどう思ったのかをプロジェクトメンバー内で話し合うことで都市を見る視点がより多角化した良いきっかけであったように思います。また、広域調査と狭域調査を行ったことが、都市のスケールを何度も横断し見にいくだけではわからないことを調査でき、貴重な経験が積めた1年でした。


おわりに

 今回のマガジンでは泉山先生、B4、M2、各プロジェクトリーダー、プロジェクト総監督のみなさんに2024年度の研究室活動を振り返っていただき、総括を行いました。先生や先輩方からいただいたメッセージを胸に2025年度以降も私たち都市計画研究室(泉山ゼミ)の活動に励んで参ります。2025年度もマガジンは都市計画研究室(泉山ゼミ)の活動を発信していきますので、新しい体制となった研究室の活動にも、注目していただけますと幸いです。
                                     文責:及川瞭太、柚﨑廉太朗

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