STUDYTOUR
スタディツアー2024 in 岡山&福山&尾道
2024年9月10日(火)〜9月12日(木)に「都市計画研究室(泉山ゼミ)」3回目となるスタディツアーを開催いたしました!!!
スタディツアーとは
スタディツアーは、毎年実施される、先生とゼミ生全員で都市を巡るツアーです。
今年度のスタディツアーは、以下の2つを目的としています
①.現地の人との交流や体験を通じて、その都市の理解を深める
②.学びの共有・振り返りを行うことで、今後の活動に役立てる
スタディツアーの行き先は、研究室内で意見を募り、ほこみち制度やPark-PFI制度を導入により整備された道路や公園がよく見られる岡山市、福山市、空き家再生が進み、観光地として注目される尾道市の3つの都市に決定しました。
ツアーのスケジュール及び事前準備は、スタディツアー係が中心となり進めました。泉山先生や研究室学生の協力を得て、研究テーマや各自の興味・関心に基づき、内容を調整しました。
このツアーには、泉山先生、M2:5名、M1:8名、B4:15名の計29名が参加しました。
スタディツアーのスケジュール
〇1日目(9月10日)
岡山県岡山市を訪れ、ハレまち通り(旧県庁通り)・下石井公園の空間整備の経緯や取り組みについて、岡山市から説明をしていただきました。また、岡山大学建築計画学研究室・堀研究室との合同ゼミを行いました。
その後、日本大学と岡山大学による懇親会を行い、親睦を深めました。
〇2日目(9月11日)
広島県福山市を訪れ、三谷繭子氏(Groove Designs)から福山本通り商店街の事業や福山駅前歩行社会実験「OPEN STREET FUKUYAMA」について説明がありました。
次に、中西彩氏(福山電業株式会社)、塩出喬史氏(大和屋製パン工場)から中央公園、谷口博輝氏(iti SETOUCHI支配人)からiti SETOUCHIの整備や取り組みについて説明していただきました。
また、夜にはゼミ生28名、泉山先生、中西彩氏、塩出喬史氏、谷口博輝氏の計32名で懇親会を行いました。
〇3日目(9月12日)
広島県尾道市を訪れ、ONOMICHI U2の見学と、尾道で行われている空き家再生事業をめぐる、まちあるきを行いました。
最後に、スタディツアーの振り返りワークショップを行い、学びの振り返りを行いました。
ここまでスタディツアー3日間のスケジュールをザっと紹介しました。ここからは3日間の詳細な内容をお話していきます。
スタディツアー3日間の詳細
①岡山大学建築計画学研究室・堀研究室との合同ゼミ【1日目:9月10日(火)】
岡山大学建築計画学研究室・堀研究室との合同ゼミを行いました。この合同ゼミでは、以下の2つを目的としてます。
1.複数の研究室が研究の成果やプロジェクトでの活動内容を発表し、互いに議論・意見交換を行うこと
2.他研究室との交流により、知見を広げること
都市計画研究室(泉山ゼミ)からは3つのプロジェクトと4つの研究を発表、建築計画学研究室(堀研究室)からは1つのプロジェクトと3つの研究を発表し、互いに議論・意見交換を行いました。
今回の合同ゼミを通じて、お互いに良い刺激を受け、研究をさらに発展させるためのヒントを得ることができました。ゼミ生たちにとって、他大学からの視点やアプローチに触れる貴重な機会となりました。
②ハレ町通り、下石井公園【1日目:9月10日(火)】
岡山大学建築計画学研究室(堀研究室)の主導により、ハレまち通り(旧県庁通り)および下石井公園で、Do It Yourself Checklistを活用した現地調査を体験しました。初めて見る評価項目が多く、戸惑うゼミ生もいましたが、その分新鮮な気持ちで調査を楽しむことができました。
また、岡山市の担当者より、ハレまち通りおよび下石井公園の空間整備に関する経緯や取り組みについて詳細な説明をいただきました。
ハレまち通りは、岡山市が目指す魅力と賑わいのある中心市街地の創出の一環として整備が進められています。車道を2車線から1車線に減らし、歩道を拡幅することで、ゆとりある歩行空間を創出しています。再整備をするにあたり、社会実験を繰り返したことによって、沿道店舗の人や事業者との段階的な合意形成がなされています。また、舗装やベンチのデザインにも力を入れ、空間の質を高めるハード整備がなされていることを伺うことができました。
下石井公園は、ハレ町通り同様に、「街を楽しむ」をキーワードに再整備が行われた公園です。もともと砂地の広場だったこの空間は、社会実験として人工芝を敷く取り組みを経て、2023年の7月に天然芝の広場へと生まれ変わりました。さらに、社会実験の期間中には、芝生広場を活用して楽しめるよう、おもちゃなどが詰まったワゴンの貸し出しを実施。空間の「整備」だけでなく、「使い方」にも焦点を当てた取り組みが行われていたことがわかりました。
2つの見学地の説明を受ける中で、岡山市の職員のみなさんがより良いまちづくりを目指して情熱を注いでいることを強く感じました。また、その実現には、社会実験や試行錯誤を重ねながら、段階的にプロセスを進めることが重要であると学びました。
③福山本通り商店街【2日目:9月11日(水)】
Groove Designsの三谷繭子氏に福山本通り商店街の事業についてご説明いただきました。
福山本通り商店街は、かつて全長 440mの全蓋式アーケードで覆われていましたが、2015年には老朽化が著しかったことから、アーケードは完全に撤去されました。しかし、改修はそれだけにとどまらず、「樹木と石畳とワイヤー式のアーケード」に再整備する大規模な改修事業が行われました。この改修をきっかけに、商店街ではマルシェや夜市など、多世代が楽しめるイベントを定期的に開催し、地域全体の活性化を図っています。
特に印象的だったのは、商店街がまちなみづくりに積極的に参加している点です。具体的には、植栽の管理を商店街自身が担い、地域住民や事業者を巻き込むことで、新たなステークホルダーを増やす仕組みを構築していることが興味深かったです。
④中央公園、iti SETOUCHI【2日目:9月11日(水)】
福山電業株式会社の中西彩氏、大和屋製パン工場の塩出喬史氏から中央公園の現在の取り組みや課題についてご説明していただきました。
中央公園は福山駅周辺における回遊性とにぎわいを創出することを目的とし、2021年5月にリニューアルされました。Park-PFIの導入により、公園内にレストランや休憩スペースが整備されています。
地域住民と協力して多くのイベントを開催することで、公園の認知度向上や賑わい創出に取り組んでいる点が印象的でした。一方で、指定管理者制度を採用しておらず、公園設備に民間投資ができていないため、芝生の維持管理が難しいという現場ならではの課題も伺いました。
iti SETOUCHI支配人の谷口博輝氏から、施設の整備や取り組みについて説明していただきました。
iti SETOUCHIは、もともとは百貨店として使用されていた建物を活用した施設で、大型複合施設の1階をリノベーションして誕生しました。地方都市における大型商業施設の跡地を有効活用した先進的な事例として注目されています。
特に印象的だったのは、施設内のほとんどがパブリックスペースとして設計されている点です。単なる商業施設としての役割を超え、地域住民にとっての「居場所づくり」を目指しており、地域の交流や賑わいを創出する場として機能しています。
この取り組みは、地方都市が抱える課題に対する新たな解決策として大変魅力的で、他の地域にも応用可能なモデルケースであると感じました。
⑤ONOMICHI U2【3日目:9月12日(木)】
ONOMICHI U2は、もともと海運倉庫だった建物をリノベーションし、ホテルと商業施設を一体化させた複合施設です。地元住民だけでなく、多くの観光客やサイクリストが訪れる施設となっています。
スタディツアー係や先生から施設について説明をいただいた後、尾道商店街で昼休憩となり、それぞれが思い思いにランチを楽しみました!
⑥おのみちまちあるき【3日目:9月12日(木)】
尾道まちあるきでは、4グループに分かれ、尾道本通りやその周辺エリア、そして空き家再生が行われたスポットを巡りました。
坂や階段が多くあったため、空き家再生で活用されている場所で休憩をしながら、空き家再生によって生まれ変わったまちを体験することができました。 また、このまちあるきに合わせて開催した「おのみちフォトコンテスト」では、グループごとに撮影した素敵な写真が多数寄せられました。優勝作品は、以下に掲載していますので、ぜひご覧ください!
Instagram:優秀作品
⑦スタディツアー振り返りワークショップ【3日目:9月12日(木)】
このワークショップは、スタディツアーで訪れた見学地の取り組みを評価し、それらが今後の研究室活動にどのように活かせるかを議論することを目的としています。見学を通じて得た知見をさらに深める機会となりました。1日目の岡山と2日目の福山で見学した、①ハレまち通り、②下石井公園、③福山本通り商店街、④中央公園、⑤iti SETOUCHIの5班に分かれ、ワールドカフェ形式でワークショップを行いました。
各班では、見学地で感じた魅力や課題、そしてそれに対する施策について話し合い、そこから得られる学びを深掘りしました。これにより、今後のプロジェクト活動や研究へのアプローチ、さらには地域や事業者との関わり方を見つめ直すきっかけとなりました。
スタディツアーを通じて
スタディツアーの3日間は天候にも恵まれ、大変充実した時間を過ごすことができました。見学を通じて、ほこみち制度の活用や公園・建物の再整備など、地方都市の活性化に向けた先進的な取り組みや課題について、多くの学びと気づきを得ることができました。また、合同ゼミや今回初めて取り組んだワークショップを通じて、研究やプロジェクトといった今後の研究室活動を見つめ直す貴重な機会となりました。
最後に、本ツアーの実施に際しご協力いただいた関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
文責:児玉陽斗、原田夏実
Instagram:スタディツアー
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