PROJECT

STUDYTOUR

スタディツアー2025 in 富山&金沢

2026.04.21

2025年9月15日(月)〜9月17日(水)に「都市計画研究室(泉山ゼミ)」4回目となるスタディツアーを開催いたしました。

東山河岸緑地での集合写真(1日目)

スタディツアーとは

 スタディツアーは、毎年実施される、先生とゼミ生全員で都市を巡るツアーです。
 2025年度のスタディツアーは、以下の2つを目的としています。
 ①.都市や地域におけるまちづくりの現場を体験し、理解を深める
 ②.ゼミ生同士の協働を通じてチームワークを高める

 2025年度のスタディツアーの行き先は、研究室内で意見を募り、石川県金沢市・富山県富山市の2都市に決定しました。金沢市では、歴史的景観の保存とまちなかの歩行環境改善を一体的に進めるまちづくりが展開されており、人中心の空間形成に向けた取り組みが特徴です。
 一方、富山市では、LRT・路面電車を核とした公共交通指向型開発(TOD)やコンパクトシティ政策を先導してきた都市として、市街地再開発や公共交通と連動した中心市街地の再生が進められています。
 本スタディツアーでは、金沢市と富山市を対象とし、両都市の中心市街地におけるまちづくりの考え方や実践を学びました。
 ツアーのスケジュール及び事前準備は、スタディツアー係が中心となり進めました。泉山先生やゼミ生の協力を得ながら、研究テーマや各自の興味・関心に基づいて、見学地や案内依頼等の内容を決定しました。
 このツアーには、泉山先生、M2:7名、M1:11名、B4:16名、研究生:1名の計36名が参加しました。

スタディツアーのスケジュール

〇1日目(9月15日)
 石川県金沢市のひがし茶屋街を訪れ、重要伝統的建造物群保存地区による歴史的な町並みを見学しました。続いて、株式会社プロパティマネジメント片町の方から、片町きららについてご説明していただきました。その後、株式会社日本海コンサルタントの片岸将広氏の案内のもと、片町きららと近江町市場を視察し、市街地再開発事業のプロジェクトに関する説明を受けました。
 その後、片岸氏と都市計画研究室(泉山ゼミ)のメンバーで懇親会を行い、親睦を深めました。

〇2日目(9月16日)
 金沢市から富山県富山市に移動し、文化による都市の魅力発信について学ぶためにTOYAMAキラリを見学しました。その後、富山駅北口周辺で「まち歩きビンゴ」を実施し、LRTや環水公園などを巡りながらまちなかの空間利用について学びました。
 夜には、富山大学芸術文化学部藪谷研究室との懇親会を行い、交流を深めました。

〇3日目(9月17日)
 富山市民プラザの京田憲明氏から、富山市民プラザにて富山市の市街地再開発事業や富山市民プラザ、グランドプラザ整備事業について説明していただき、実際に大手モール広場とグランドプラザの見学を行いました。
 最後に、スタディツアーで得た学びを深めることを目的とした振り返りアウトプット企画を行い、3日間の学びの振り返りを行いました。

ここまでスタディツアー3日間のスケジュールをザっと紹介しました。ここからは3日間の詳細な内容をお話していきます。

スタディツアー3日間の詳細

①金沢まちづくりディスカッション【1日目:9月15日(月)】
 株式会社日本海コンサルタントの片岸 将広 氏に金沢市のまちづくりについてご紹介してもらいました。
 片町きらら周辺では、建物の老朽化や事業所の減少が進む一方で、オフィスからホテルへの用途転換が進み、2024年には過去最高の集客を記録したことが紹介されました。また、北陸新幹線開業の約2年前から人の流れに変化が生じていたことや、都心軸沿いに公共空地が少ないといった課題についても学びました。
 交通面では、車を利用する市民が多い状況を踏まえながら、金沢駅を起点とした二次交通の充実や市内回遊性の向上に向けた取り組みについて説明を受けました。中でもシェアサイクル事業「まちのり」は、どこでも借りて返せる公共交通として位置づけられ、まちなかの移動利便性向上に寄与していることを学びました。

株式会社日本海コンサルタントの片岸 将広氏によるレクチャー(1日目)

株式会社プロパティマネジメント片町の方から片町きららの説明を受ける様子(1日目)

②片町きらら【1日目:9月15日(月)】
 株式会社プロパティマネジメント片町の方から、片町きららについてご説明してもらいました。
 片町きららは金沢市の市街地再開発事業の一環として整備した施設であり、中心市街地の活性化を目的に整備された商業・交流拠点です。本事業は、過度な規模拡大を伴う再開発ではなく、地域の実情や需要に即した「身の丈再開発」として計画・実施されている点が特徴的でした。施設内には屋外広場が設けられており、市民や観光客が集い、交流できる場として街の魅力を高める役割を担っています。実際に屋外広場では音楽フェスなどのイベントも開催されており、日常利用に加えて非日常的な賑わいを生み出す場として機能していることが確認できました。
 また、再開発事業を進める上での背景についても触れられ、片町きららが単なる商業施設ではなく、地域全体の将来を見据えた都市再生の象徴的な存在であることが理解できました。地権者の方からは、事業を進める過程での苦労や地権者をまとめあげる難しさ、テナント誘致における工夫など、現場のリアルなお話を伺うことができ、非常に貴重な学びの時間となりました。

株式会社プロパティマネジメント片町の方から片町きららの説明を受ける様子(1日目)

③近江町市場【1日目:9月15日(月)】
 泉山先生、片岸氏のお二方に近江町市場の再開発事業についてご説明してもらいました。
 近江町市場では、当初オフィスやホテルなどを含む従来型の高層ビルによる再開発が計画されていましたが、民間資本の参画が見込めなかったことから、地域の実情に即した低容積・市場機能中心の再開発へと方針が転換されました。その結果、市場の雰囲気や歴史的建築物を保存・活用しながら、老朽化した小規模店舗街区の更新や交通広場の整備が進められました。
 武蔵ケ辻第四地区第一種市街地再開発事業により整備された「近江町いちば館」では、1階に従来の市場機能を残しつつ、地下や上階に飲食店・専門店・公共施設を組み込んだ複合施設として再編されています。建物内部には路地状の通路やアーケード空間が再現されており、近江町市場らしい界隈性や「金沢の台所」としての雰囲気を継承した再開発のあり方について理解を深めることができました。

近江町市場内を見学する泉山先生、片岸さん、学生の様子(1日目)

④まち歩きビンゴ【2日目:9月16日(火)】
 
富山駅周辺において、環水公園やその周辺エリアを巡りながら、都市に関連したお題をマスとした「まち歩きビンゴ」を実施しました。泉山先生とゼミ生を6グループに分けてまち歩きを行い、各々で写真を撮影し記録に残すことで、空間の使われ方を再発見することを目的として実施しました。対象マスにはLRTや富岩運河環水公園もあり、ゼミ生同士が交流を深めながら楽しく学ぶことができました。
 また、学年に縛られず、グループ全員で意見を交わしながらまちを歩くことで、それぞれ異なる視点から富山のまちの魅力を再発見することができ、理解を深める有意義な機会となりました。

富岩運河環水公園でまち歩きビンゴを楽しむ学生たち(2日目)

 また、「泉山ゼミ〜BLUE SUMMER~」として、服装の統一によって一体感を高め、ゼミ生同士の親睦を深めることを目的に青のドレスコードを設け、全員が青色の服装やバッグ、アクセサリー等を着用して参加しました。

青色のアイテムを身に着けまち歩きをする学生たちの様子(2日目)

⑤富山市まちなか賑わい広場(グランドプラザ)見学 【3日目:9月17日(水)】
 富山市民プラザの京田憲明氏に、富山市民プラザビルにて富山市の市街地再開発事業やグランドプラザ整備事業についてご説明していただきました。
 大手モール沿いに位置する屋根付き広場「グランドプラザ」は、中心市街地活性化基本計画の一環として、隣接する百貨店や立体駐車場の市街地再開発と一体的に整備された空間です。既存道路の集約と建物のセットバックによって、幅約21m・長さ約65mのガラス屋根に覆われた全天候型の広場が創出されていることを学びました。
 また、グランドプラザ整備に伴う様々な検討を通じて、誰もが自由に活用できる「まちなか広場」を目指した管理運営体制の構築や、イベント利用と日常利用の両立、民間施設と一体となった賑わいづくりの考え方について説明を受けました。さらに、備品倉庫と一体的になったステージや大型ビジョン、可動式のイスやテーブルなど、実際に配備されている設備にも触れながら、広場運営において重要となるハード・ソフト両面の工夫について理解を深めることができました。

グランドプラザのステージで記念撮影(3日目)

⑥アウトプット企画【3日目:9月17日(水)】
 本企画は、見学地の取り組みや現状を評価し、今後より良い空間とするためにどのような改善が考えられるかについてゼミ生間で議論を行い、スタディツアーで得た学びを深めることを目的としています。
 スタディツアーの3日間で見学した、①大手モール広場、②富岩運河環水公園、③近江町市場、④ひがし茶屋街、⑤グランドプラザ、⑥片町きららの6か所を対象に班分けを行い、ワークショップを実施しました。
 ワークショップでは、それぞれの見学地について魅力や課題を整理した上で、課題に対する具体的なアプローチや改善の方向性について意見交換を行い、さらにその議論を通して、今後の研究室活動にどのように活かしていくことができるかを話し合い、班ごとに発表を行いました。

グループで議論する様子(3日目)

見学地の課題について発表する様子(3日目)

スタディツアーを通じて

 スタディツアーの3日間は天候にも恵まれ、金沢・富山のまちづくりを実際に歩きながら体感することで、講義や文献調査だけでは分からなかった多くの気づきを得ることができた、大変有意義な時間でした。現地を自分の足で歩き、空間の使われ方や人の動きを目にすることで、これまで頭の中で理解していたまちづくりの取り組みが、具体的なイメージとして結びついたように感じます。
 金沢市では、片町きらら周辺における土地利用の変化や、「まちのり」による回遊性向上の取り組みを通して、都市規模や需要に応じたダウンサイジング型の再開発が、中心市街地の魅力を無理なく維持していることを学びました。
 富山市では、市民プラザの市街地再開発事業や、大手モール沿いに整備された全天候型広場「グランドプラザ」の運営体制を学び、公共空間は整備しただけでは賑わいは生まれず、「どのように使い続けるか」という運営の工夫が極めて重要であることを強く感じました。
 最終日のアウトプット企画では、見学を通して感じたことや考えたことを言葉にして共有する中で、自身の研究テーマと、今回の学びとをどのようにつなげていくかを考える貴重な機会となりました。
 今回のスタディツアーで得た学びを単なる見学の経験として終わらせるのではなく、自身の研究に活かしていきたいと考えています。

 最後に、本スタディツアーの実施にあたりご協力いただいた関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

文責:金山奨太、佐久間崚介

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