MAGAZINE
2024年度 都市計画研究室(泉山ゼミ)の「おすすめ都市」座談会!
はじめに
今回は、都市計画研究室(泉山ゼミ)のみなさんが、都市計画のさまざまな観点からおすすめの都市を紹介する座談会を行いました!2024年度2月号の座談会では、博士前期課程1年生(以下、M1)から遠藤優奈さん、菅原悠希さん、深津壮さん、学部3年生(以下、B3)から清水とおるさん、沼澤彩華さん、室田悠介さんの計6名が参加しました!
【B3:清水とおる】おすすめの都市:パリ


建築学科主催行事の海外研修で訪れました。おすすめする理由は、街並みが綺麗であることと、通りの使い方が魅力的だと感じたからです。こちらの写真は、元々道路であった空間をテラス席として活用した事例になってます。通りを歩いていても、自転車専用のレーンが設けられていたり、幅が広くて、植栽に溢れた通りも魅力的で、歩いていて飽きない街であると感じました。また、自転車中心の街であると感じて、至る所に駐輪場があったり、歩道が両脇にあって、中央に自転車専用道がある所が、日本では考えられないような配置で面白いと感じました。
(遠藤)歩いていて特に面白かった通りはありますか?
(清水)面白いという点で言うと、先程見せた橋の通りが面白いと感じました。エッフェル塔が良く見える橋ということで訪れましたが、良い体験ができました。
(遠藤)広い通りで中央が車道じゃないってところが海外っぽいなと感じました。
(菅原)実際、その自転車道に自転車は通っていましたか?日本だと、自転車道があっても、車道を走っていたりしますよね?
(清水)ちゃんと使われていた印象です。自転車の交通量も多かったです!出勤や通学にも自転車を使っているような印象でした。
【B3:室田悠介】おすすめの都市:宇都宮市

「都市計画研究室(泉山ゼミ)」のプロジェクトのひとつである、「プレイスメイキングうつのみや」の活動の一環で訪れました。プロジェクトで初めて宇都宮に行って、自然と調和した住みやすそうな街であると感じました。1番魅力的に感じたのは、オリオン通りという商店街です。オリオン通りでは、イベント等が開催できる場所があって、訪れた際もイベントを開催しており、地域のコミュニティ形成がしっかりできていると感じました。その点、他の商店街にはあまり見られない魅力であると感じました。以上の理由から宇都宮を紹介しました。
(清水)ちょうど良く住みやすいと感じた理由は何ですか?
(室田)東京と比べて、窮屈さがなくちょうど良いと感じたからです。
(遠藤)宇都宮は観光やグルメなどの印象が強いと思いますが、なぜ今回住みやすさという点に焦点を当てたんですか?
(室田)自分は元々地方出身、静岡出身なんですけど、それに似た雰囲気を感じたからです。地元よりもちょっと栄えてる感じが、住みやすいと感じました。
(遠藤)地元っぽい良さもありつつ、ちょっと発展している点が住みやすいと感じたんだね。LRTも通ってるしね。
【M1:深津壮】おすすめの都市:鶴岡市

<出典>庄内観光サイト,https://mokkedano.net/spot/30346
山形県出身ということもあり、山形から紹介します!鶴岡市には、あつみ温泉という温泉街があります。写真のような道が一直線に広がってて、整備前は歩車分離されてました。整備後には歩道と車道がフラットになり、車線も1車線になったのかな。より人が歩きやすい空間になって、浴衣姿で歩く人も見るようになりました。その整備後の雰囲気が好きだったのと、整備事例としても良い事例なんじゃないかと思い、紹介しました。
(遠藤)整備前と整備後どちらも行ったんですか?
(深津)整備後には1回行きました。整備前も1回行ったんじゃないかな。結構昔だけど。
(遠藤)雰囲気の違いみたいなのを感じる部分は?
(深津)やっぱり、さっきも話したように、浴衣姿で歩く人が見られるようになったこと。昔だったら、浴衣を着る場合は、その浴衣を着た宿に居座り続けるというケースが多かったんだけど、道が整備されてからは普通に外でも歩きやすくなった。外には、たしか足湯があったかな。あと、川のほうにもベンチ置いてるだけじゃなくて、滞留空間が創出されてる。花見シーズンも有名なんだよね。
(清水)浴衣で歩く人が多いってのは、それが推奨されているというよりも、整備によって生まれた空間が、そうさせているってことですか?
(深津)推奨もされているのかもしれないけど、やっぱり歩行者空間が整備されたことが大きいんじゃないかな。
(菅原)周りにはお店もある?
(深津)いや、周りには、ほぼ温泉しかない。コンビニあるかなくらい。
(菅原)ほんとに通りだけ整備してるって感じか。
(深津)温泉自体が目的地になっている感じかな。
【M1:遠藤優奈】おすすめの都市:アメリカ合衆国カリフォルニア州 サンタモニカ

〈出典〉no+e,https://note.com/sumus_kobayashi/n/n74b1d3be862e
私が紹介するサンタモニカは、アメリカのロサンゼルスにある都市で、西海岸にあるいわゆる観光地です。有名なのが、サンタモニカ・ピアっていう桟橋に、遊園地とか観光地とかのお店が写真のような感じで全部が桟橋にのっている所です。この桟橋は100年ほど前に作られた木造の橋になっていて、その上に遊園地とか観光地が作られました。海にせり出した場所が魅力で、日本でもウッドデッキが川にせり出しているみたいな場所はあるんですけれども、用途地域がその上だとかからないので、そういう事例は難しいんです。今回紹介する事例では、桟橋の上で思い切ったことをやっているという点も魅力的だと感じています。実際行ってみると、風がとても強くて、写真とか撮るのも苦労するんですけれど(笑)。
(清水)その桟橋って、昔は漁業などで普通に使われてたのが、今のかたちに変化していった感じですか?
(遠藤)昔の用途まではちょっと分からないな。この遊園地はもともと観光地にするためにできたものじゃなくて、サンタモニカ市の住民が楽しむために作られもので、それが発展しすぎて、観光客も集めているという状況になってます。最初に遊園地ができて、そこから水族館とか観光地となる場所ができていった感じ。200店舗くらいのお店が連なってます。
(深津)規模大きいね!
(遠藤)こんな感じで両サイドに店舗があって、周りに建物もないので、開けている印象です。
(深津)イギリスのブライトンにも桟橋の上の遊園地があるけど、規模感が全然違うね!
【B3:沼澤彩華】おすすめの都市:仙台市

仙台市をおすすめする理由は、地方都市の観光名所ってバラバラの場所にあるイメージだけど、仙台にはループル仙台というバスがあり、このバスが仙台の主要な観光名所を繋いでいて、便利だと感じたからです。あと、仙台のアーケード街は結構長くて、1.5㎞くらいあるのが魅力です。日本だとお店が上に積まれがちだけど、地方ならではの土地の使い方がされていて、アイレベルで楽しめるのが良いなと思い、紹介しました。
(菅原)ちょうどこの前、ヒアリングで仙台に行って、アーケードも歩いたんですけど、その日は普段あまり降らない雪がめちゃめちゃ降ったんですよ。そんなときに天候に左右されないアーケードがあって、良かったなと感じました。
(深津)仙台のアーケードは意外と廃れないんだよな。
(菅原)めっちゃ店入ってるよね!
(沼澤)ハイブランドとかもあった!ちゃんと使われてるなという印象。
(深津)ちゃっかり椅子とかベンチとかも置いてなかったっけ?
(菅原)どうだったかなぁ。あ、あったかも!広めの場所に。
(柚﨑)さっきバスが通ってるという話だったんですけど、仙台市を観光するんだったら、バスがメインという感じですか?
(沼澤)主要な場所はバスが止まってくれるので、そうなんじゃないかと。高齢者の方とか車を運転できない方には、特にオススメだと思います!現地に住んでいる人も乗っているんじゃないかな。
(及川)バスの頻度も多いよね?
(沼澤)観光バスにしては多かったかな。
【M1:菅原悠希】おすすめの都市:泉北(大阪府堺市)

〈出典〉南海電鉄ホームページ,https://www.nankai.co.jp/contents/action/life_list/ohasupark.html
ニュータウンのある場所なんだけど、2014年くらいから「泉北をつむぐまちとわたしプロジェクト」をやっていて、市民団体や市民の方が集まって、やってみたいプロジェクトを立ち上げて、まちの中で活動をするというものになってます。駅前広場でイベント開催したりとか、公園でマルシェやったりとかしてます。泉北ニュータウンのなかに、大蓮公園という公園があり、私のお気に入りの公園なんですけど、Park-PFIを活用して、週1くらいでマルシェを開催していたり、市設の図書館やってたり、コミュニティスペースがあったりします。全部民間事業者っていうよりは、プロジェクトで活動している団体が使いやすい場所にするために整備し、実際に利用されている感じです。自分たちがやりたいことをやれる仕組みと場所が揃っている点が魅力的だと感じたので選びました。
(深津)管理運営は民間事業者だけど、実際に動くプレイヤーは地元の人なのかな?
(菅原)運営自体も市民団体が携わってて、サイクリングコースの交通整備や市設図書館なども市民団体がやってるんだよね。space.SUEMURAというシェアキッチンや工作室を借りれるスペースもローカルの雑誌を発行している団体が運営してる。
(沼澤)いつ頃からこのプロジェクトは始まったんですか?
(菅原)2014年頃から始まり、公園の整備は2018年に行われました。
(及川)公園やマルシェの登場による、アクティビティの変化はありますか?
(菅原)整備前にあった資料館でのアクティビティと、本の紹介などができる場所が増えて、公園が整備されたことによるランニングなどのアクティビティが増えたかな。あとは、キャンプ用品を販売している団体も参加しているから、キャンプ用品を自由に使う、他では見られないアクティビティも見ることができたよ。
(室田)プロジェクトの活動の中で、一番興味を持った活動はありますか?
(菅原)色々な活動があるんですけど、この「ぼちぼち」とかいう名前が面白そうですね。団体によって活動が違うから、団体ごとに自分たちでSNSなどで発信しているんですよね。
(沼澤)これそれぞれ違う団体なんですか!?
(菅原)そうなんです。
まとめ
(清水)都市の1つの要素である公園やストリートにスポットした紹介を聞けて、面白かったです
(室田)自分が訪れたことのない都市の紹介が多かったので、みんなの紹介を聞いて行ってみたいと思いました!
(沼澤)おすすめの都市を聞く中で、それぞれの都市の見方があって、自分の興味関心に繋がると感じました。今はアクティビティに興味があるんですけれど、色々な都市を訪れる中でもっと他のテーマにも触れていって、卒論のテーマを決めたいと思いました。
(菅原)今日話していて感じたことは、人によって視点が違うことに気が付きました。例えば、室田君の宇都宮と私の宇都宮のイメージが違うと感じてて、東京から見れば宇都宮は地方都市だと感じるけど、静岡から見れば宇都宮も都会であると、そのような生い立ちなどの背景が人によって違うから、感じ方も違う。今後都市を訪れるなら、違うテーマを専攻している人や、建築学科ではない人と訪れてみると、違う視点の意見を聞けて面白いんじゃないかと思った。
(遠藤)皆さんの話を聞いて、色々な都市が出てきて面白かった。私は海外に3年住んでいたから海外の都市を紹介したけど、他の人も海外の都市を紹介していたのが意外で面白かった。日本と海外では都市の成り立ちが違っていて、車道と歩道の成り立ちや構成など、日本とは違う要素があるから、海外の事例を見に行くのはとても勉強になると感じました。
(深津)自分は地元である山形を事例として紹介したけど、都市計画を学んだ後に地元の山形に戻ると、気づかなかった魅力や課題に気づくことができた。だから、都市を見る視点を育む上で、地元の都市の魅力や課題を語れるようになってから、外の都市を見ることでより都市を見る視点が育まれるんじゃないかな。
おわりに
ゼミ生によるおすすめの都市紹介はいかがでしたでしょうか。
私たち都市計画研究室(泉山ゼミ)では、様々な都市についてゼミ生同士で情報を共有し合い、都市について知識と理解を深めています。
今回の座談会では、ゼミ生の中心となりプロジェクトを進行するM1のみなさんと、都市計画を学んで4ヶ月程経ったB3のみなさんの視点から都市の楽しみ方を伺うことができました。
今後、旅行やまち歩きなど都市を楽しむ際の参考となれば幸いです。
文責:及川瞭太、柚﨑廉太朗