MAGAZINE
2025年度都市計画研究室(泉山ゼミ)の研究ユニット紹介!

はじめに
都市計画研究室(泉山ゼミ)のゼミ活動や研究体制にはさまざまな特色があります。その特色のひとつとして、同じ研究テーマを扱うチームである「研究ユニット」が存在します。
2025年度7月号のマガジン記事では、その「研究ユニット」に着目し、紹介していきます。都市計画研究室(泉山ゼミ)准教授の泉山 塁威先生のインタビューを通して、研究ユニット体制の意義やメリットを伺い、2025年度の8つの研究ユニット紹介では、各研究ユニットの意識することや雰囲気について深掘りをしていきます!
泉山先生にインタビュー

Q:研究ユニット体制の意義は何ですか。
研究ユニットは現在、博士前期課程2年生(以下、M2)・博士前期課程1年生(以下、M1)・学部4年生(以下、B4)という体制です。後期はそこに、新しく研究室配属される学部3年生(以下、B3)が入ります。研究のテーマや5つの柱ごとに、学年を超えたチームというのが研究ユニットです。
2022年に都市計画研究室(泉山ゼミ)の1期生がM1となり、そこから大学院生と学部生という研究ユニット体制が始まりました。関連する研究を行う大学院生と学部生が研究ユニットを組むことで、お互いに研究のシェアをしたり、相乗効果を生み出してもらいたいと考えています。例えば、研究室会議では、B4の卒業論文のテーマについて、ゼミ全体で触れますが、学部生が大学院生の研究テーマに触れる機会は多くありません。
また、大学院生は基本ひとりで研究を行うため、他のゼミ生からフィードバックをもらう機会は多くありません。そのため、調査方法や研究の進め方について、研究室会議以外で、互いの研究について議論する機会を設けるという意味で研究ユニットを設けています。
研究室全体の人数が多くなると、他研究ユニットの先輩がどのような研究をするのか分かりにくい場合もあると思います。ですが、少なくとも研究ユニットでは学年を超えたつながりを大事にしてもらいたいと考えています。学年を超えて連携しながら、教え合う環境をつくりだすことで、大学院生が学部生を教えるだけでなく、お互いに議論し、客観的視点を養うことができると考えます。また、研究室会議のみでは、議論する機会が限られているように感じます。
あまり時間を気にせずに、議論をする機会を設けられるところにも、研究ユニットのメリットがあると考えます。上手く研究ユニットを使っているところは、研究も上手くいっているように感じます。
Q:2025年度研究ユニット体制において、なぜ5本の研究テーマの柱を意識しましたか。
そもそも5本の研究テーマの柱とは、①都市再生/中心市街地再生/ウォーカブルシティ、②都市/商業地の人のアクティビティ、③パブリックスペースの理念及び実践論、④パブリックスペースマネジメント(制度・仕組み)、⑤エリアマネジメント の5つです。あまり外部には出していませんが、学部生の卒業論文と大学院生の修士論文の内容をプロットした研究系譜があります。毎年研究を進めていくと、この研究はどこの柱なのだろうというものが出てきます。そういったときに、5本の研究テーマの柱を意識した研究ユニットにすることで、自分の研究がどこの柱に属するか考えることができ、自身の研究に軸を持たせるためです。
Q:(研究の系譜を見ると、5本の柱によって密度の差があるような気がしますが)、将来的に5本の研究テーマの柱を変えていこうという考えはありますか。
現段階では、明確にここを変更しようというのは決まっていません。しかし、普段から授業でも言うように、都市・エリア・プレイスという3つのスケールがあると考えます。これを5本の研究テーマの柱に当てはめて、整理していくのも良いと考えています。
Q:2025年度の研究ユニットについて詳しく教えてください。
2025年度の研究ユニット体制の大きな特徴として、M1が各研究ユニットに2人ずついるという点があります。大学院生になると、自分の研究の専門性を高めるだけでなく、他の研究分野もある程度語れる必要があります。研究室会議の発表で、ゼミ生全体からの質問時間を設けているのには、そういった意図もあります。 研究を行う上で、5本の研究テーマの柱を掲げていますが、実際に将来、実務で都市の仕事に携わっていく上では、5本の研究テーマの柱は分断されていないと考えます。
例えば、2024年度に秋葉原ウォーカブルプロジェクトでは、「マーケットストリート社会実験2024 in 秋葉原ジャンク通り」を実施し、秋葉原ウォーカブルビジョンを立ち上げました。そして現在では、「エリアプラットフォームを作りましょう」と言っています。
このように、都市のプロジェクトを進めていく上で、5本の研究テーマの柱で分断されているということはありません。ただ、研究を行っていく際に、様々なキーワードがあると、分かりにくくなるため、キーワードを絞っているということです。研究ユニットの弊害をいうと、ここの部分かもしれません。自分の研究テーマにしか目を向けられないという部分です。専門性を高めていくうえでは、良い環境かもしれませんが、縦割りになってしまう可能性があり、他の研究ユニットでは何をやっているか分からないという状況も考えられます。そのため、与えられた環境を活かすか無駄にするかは、その人次第だと考えています。
Q:現状の研究ユニットの良い部分と改善できる部分はありますか?
都市計画研究室(泉山ゼミ)の特徴として、先輩と後輩の仲が良いという部分があります。これは研究ユニットの効果だと考えています。気の合う先輩と後輩というコミュニティだけでなく、研究ユニットという別のコミュニティが存在するのが良いと考えています。
一方で気を付けなければいけない点としては、他の研究ユニットとのつながりが薄くなる可能性がある点だと考えます。また、研究ユニット内でも、先輩が多く、学部生もペアで研究を行っていることで、自分がアウトプットしていく上で、頼りきってしまう可能性があるのも気を付けなければいけないと考えます。自分でちゃんと仮説を立てて、考えることをしていかないと、先輩の論文になってしまう危険性があります。
大学院生は基本ひとりで研究を行っていくため、学部生時代にそういった部分を鍛えておく必要があります。大学院生側も、学部生のチェックを他の人に任せきりになってしまう危険性があります。チェックする側も気づきを得られる場合があるので、そういった機会を大切にしてもらいたいです。
このように、ひとりひとりが意識を持って、研究ユニットをつくり上げていく必要があります。全員が強い「個」であり続けることで、強い研究ユニットになると考えます。
♢インタビューを終えて
(柚﨑)実際に現場に出るときに、自分の専門の研究テーマだけでなく、他の研究テーマも把握する必要があるということが分かりました。今まで自分は、研究室のプロジェクトを行うにあたって、研究と実践を両輪で行うというメリットについては理解できていましたが、自分の研究テーマだけでなく、他の研究テーマとのつながりを持てる機会であるとは、あまり意識したことはなかったので、これからはそういったことも意識して、プロジェクトという機会を活用していこうと思います。
(及川)自分は実際に研究ユニット会議の中で、先輩によって違う視点の意見をいただいたりする機会があるので、そういった点にメリットがあると思いました。また、研究ユニットの5人という狭い範囲ではありますが、自分たちが先輩方の研究に対して話す機会も設けられているので、そういった点も貴重な機会として捉えています。
(泉山先生)このインタビューをきっかけに、「研究ユニット」を見つめ直して、日々ブラッシュアップしていただければ、良いと思います。頑張ってください。
各研究ユニット紹介
①都市再生研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:中村佳乃(都市再生アイレベル)
M1:山之内陽起(都市戦略・戦術・広域歩行者空間化)、吉田薫澄(駅前空間・アクティビティ)
B4:生田貴大、沼澤彩華(都市再生特区・滞留空間)
♢5本の柱(所属する柱)
都市再生(都市再生)
♢研究テーマ
都市再生特区・滞留空間
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
研究室会議後に、作業を進める部分と、研究ユニット会議で相談したい部分を自分たちの意見を出し合いながら明確にして、研究ユニット会議に臨んでいます。自分たちで考えるべき部分とアドバイスをもらうべき部分のすみ分けを意識しています。
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
研究ユニット会議前までに、相談事項を事前に用意してもらい、研究ユニット全体で考えるようにしています。研究ユニット内での研究テーマが異なるからこそ、各メンバーが引き出せる情報を共有しながら、持ち味を引き出すようにしています。そして、自分たちの勉強にもなっています。
♢研究ユニットの雰囲気
研究ユニット会議では少しでも不安な部分や疑問点をなくすために、集中したような雰囲気です。一方で、進路相談や雑談等では気楽に話すことができ、的確なアドバイスももらえるので、メリハリのある研究ユニットだと思います。
②パブリックスペースマネジメント(ストリート)研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:松田晃太(アイレベル個性)
M1:児玉陽斗(マーケット・街路ネットワーク)、原田夏実(複数道路占用主体の連携)
B4:稲盛大翔、清水とおる(タイムシェアドストリート)
♢5本の柱(所属する柱)
パブリックスペースマネジメント(ストリート)
♢研究テーマ
タイムシェアドストリート
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
研究ユニット会議までにとにかく手を動かすことで、先輩からより多くの指摘をもらえる状態を作ることを意識しています!研究ユニット会議をひとつのゴールと定めて、それまでに何をやるかを、研究室会議が終わった時点で、次の研究ユニット会議までに何をやるかを相談し、なるべくレジュメを持っていく準備をしています。
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
4年生がしっかり作業をして、相談事項も用意した状態で研究ユニット会議に臨んでくれるので、質問を多めにして二人の考えも引き出すことを意識して、悩んでいる点を解決できるように取り組んでいます。
♢研究ユニットの雰囲気
ナポリタンを食べたり、お菓子を食べたりと、リラックスした雰囲気で研究ユニット会議を行っています。リラックスした雰囲気でありながらも、的確なアドバイスをくれる先輩方のおかげで、研究を進められていると思います。
③パブリックスペースマネジメント(ストリート)研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:深津壮(BID)
M1:本田薫子(地方パブリックスペース・社会実験)、山本夏海(タクティカルアーバニズム)
B4:植田智大、室田悠介(海外パークレットマニュアル)
♢5本の柱(所属する柱)
パブリックスペースマネジメント(ストリート)
♢研究テーマ
海外パークレットマニュアル
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
研究ユニット会議や研究室会議ごとに、次までに何をやるべきかを明確化して、作業をこなした上でそれぞれの会議に臨んでいます!資料を見る回数が多い先輩方が、飽きないようなスライド作りを心掛け、ブラッシュアップし続けることで、質の向上を図っています!
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
4年生が既に自立して研究を進められる段階まで成長しているため、院生は指導者としてではなく、研究メンバーの一員として対等に議論を進めています。
♢研究ユニットの雰囲気
僕達の研究ユニットは2部構成で、最初の1時間程を卒論テーマを集中的に深め、残りの1時間は修論の話や好きなものの雑談等を行い、ワイワイやっています!
④都市再生(ウォーカブルシティ)研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:佐野充季(Liveable city)
M1:細矢瑞稀(マーケット・交流の場)、吉田明斗(開発用地の暫定活用)
B4:及川瞭太、高柳翔一(歩きたいまち)
研究生:シュウ・シヨウ(小規模緑地のアクセシビリティ)
♢5本の柱(所属する柱)
都市再生(ウォーカブルシティ)
♢研究テーマ
歩きたいまち
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
研究室会議後すぐに自分たちで議論し、研究ユニット会議までにやることを決めています。また、研究ユニット会議で議論する点を明確にする為に、相談事項を決めてから話すようにしています。
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
4年生の研究で解明したいことを大事にしながら研究の方向性を広げつつも、結論として何が言えそうかをみんなで試行錯誤しながら研究ユニット会議に取り組んでいます。
♢研究ユニットの雰囲気
私たちは、商業地、住宅地、マーケット、道路、緑地など様々な視点を持った人が集まるユニットです。様々な視点を持つ人が集まることで、1つの問題に対して多様な意見が出るところがこのユニットの良いところだと思います。都市を見る視点が違えど、「人を笑顔にする」という志は同じです。会議外では「歩いて楽しかったまち」や「住みたいまち」のまち歩き雑談などをして、研究に関係ありつつも楽しい雑談をしています。
⑤パブリックスペースマネジメント(広場)研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:菅原悠希(Park-PFI)
M1:本田薫子(地方パブリックスペース・社会実験)、吉田薫澄(駅前空間・アクティビティ)
B4:金山奨太、佐久間崚介(スタジアム広場活用)
♢5本の柱(所属する柱)
パブリックスペースマネジメント(広場)
♢研究テーマ
スタジアム広場活用
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
思ったことを素直に伝えること、分からないことを曖昧にせず共有することを意識しています。自分たちの経験不足から見通しが立てづらい点や論理の妥当性については、先輩方に積極的に質問しながら進めています。
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
研究ユニット会議では、4年生が主体的に考えを深められるよう、対等な立場で議論することを大切にしています。相談内容に対しては質問を重ねることで考えを引き出し、研究の方向性を一緒に模索する姿勢を意識しています。
♢研究ユニットの雰囲気
僕らの研究ユニットには、ひとつの秩序のようなものがあります。それはルールではないし、誰かが決めたものでもありません。
M2の菅原さんは、僕らの小さな研究世界における“博士号を持たない博士”とでも言えばいいのかもしれません。必要以上には喋りませんが、必要なときにはすでに答えがそこにあるような気がします。
M1のふたりは、知性のカクテルみたいな存在です。片方はライムのように鋭く、もう片方はミントのように爽やかです。ふとした瞬間に口を開くと、言葉はまるで冬の朝に差し込む陽の光みたいに、迷いを解かしてしまいます。
そして僕たち、B4のふたりはというと、たぶん“気まぐれな風”みたいなものです。ふざけた言葉を交わしながらも、いつの間にか核心に迫っています。
⑥都市再生(ウォーカブルシティ)研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:遠藤優奈(公開空地活用)
M1:高田悠真(都市再生特区・ウォーカブル)、山之内陽起(都市戦略・戦術・広域歩行者空間化)
B4:川崎海渡、佐藤陸(ウォーカブル・駐車場)
♢5本の柱(所属する柱)
都市再生(ウォーカブルシティ)
♢研究テーマ
ウォーカブル・駐車場
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
研究ユニット会議では、前回の研究室会議の振り返りや研究室会議後からの進捗を共有し、研究ユニット間で研究の理解や現在地を深めることを意識しています。研究に対しての自分たちの意見を共有することで、研究の方向性や今後の展望などについて議論を生むことを目的としています。
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
研究ユニット会議で共有できること、できないことがあると思うので、会議までにまとめたことだけでなく、その経緯までコミュニケーションをとるように意識しています。
♢研究ユニットの雰囲気
研究ユニット会議では、各々が思ったことや疑問に感じたことを遠慮なく議論を行い、とても有意義な時間を過ごせています。会議以外の時間でもプライベートな話も含め、コミュニケーションを多く取っています。
⑦エリアマネジメント研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:五味桃花(エリプラビジョン)
M1:細矢瑞稀(マーケット・交流の場)、吉岡知輝(東京のエリアマネジメント)
B4:久保隼人、柚﨑廉太朗(都市再生推進法人・エリアビジョン)
♢5本の柱(所属する柱)
エリアマネジメント
♢研究テーマ
都市再生推進法人・エリアビジョン
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
研究ユニット会議では、前回の研究室会議から自分たちが考えたことや、行った作業について、予めドキュメントにまとめることを心がけています。先輩方がリラックスできるように会議中にお菓子をつまめるような環境を整えています。寒ければ、ブランケットも用意してます。
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
これまでのエリアマネジメントの研究との違いや独自の視点を意識しながら、4年生それぞれの問題意識に基づいたテーマを、研究ユニット会議の中で掘り下げています。
♢研究ユニットの雰囲気
研究の話をするときと雑談をするときでメリハリがある研究ユニットであると考えています。優しい先輩方が集まっているため、雑談の時には穏やかな雰囲気ですが、研究の相談をする際には、的確な意見をたくさんもらっています。
⑧パブリックスペースの理念及び実践論研究ユニット

♢研究ユニットメンバー ※()内は研究内容
M2:橋本瑛(若年層プレイスメイキング)
M1:阿部真実(地方エリアマネジメント財源)、児玉陽斗(マーケット・街路ネットワーク)
B4:高木里紗、並木有海(複数の公共空間活用)
♢5本の柱(所属する柱)
パブリックスペースの理念及び実践論
♢研究テーマ
メインストリートの公共空間への影響
♢研究ユニット会議で意識すること(B4)
研究ユニット会議までにお互いの意見をすり合わせ、そこで議論した自分たちの方向性を共有するよう心掛けています。先輩方に積極的に相談できるように意識しています。
♢研究ユニット会議で意識すること(M1,M2)
相談ゴトを引き出すことや、雑談を交えながら話しやすい雰囲気にすることは心がけています。4年生の二人のやりたい方向性を見失わないように、全員で模索するような研究ユニット会議を心がけています。
♢研究ユニットの雰囲気
研究ユニット会議では常に先輩方が盛り上げてくれるため、話しやすい環境で議論を進めることができています。そして研究テーマが異なる先輩方だからこそ、多方面からの改善策や意見がもらえるためとても心強いです。
おわりに
2025年度7月号マガジンでは、都市計画研究室(泉山ゼミ)の特徴である研究ユニットの意義や各研究ユニットの特性について、深掘りすることができました。泉山先生へのインタビューでは、研究体制の意義やメリットを整理することができ、各研究ユニットの紹介では、会議で意識することや雰囲気を感じることができたのではないでしょうか。
都市計画研究室(泉山ゼミ)の研究体制や雰囲気を知る上で、参考にしていただけると幸いです!
文責:及川瞭太、柚﨑廉太朗





