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神田ウォーカブルプロジェクト 研究成果報告書が完成

2022.09.17
報告書表紙

2022年8月に神田ウォーカブルプロジェクトの研究成果報告書が完成しました。

神田ウォーカブルプロジェクトの詳細はこちら

神田ウォーカブル研究会が2021年3月~2022年3月までの1年間で取り組んだ、調査・実践・提案の内容を研究成果としてまとめたものです。日本大学海洋建築工学科親水工学研究室、東京都市大学都市空間生成研究室と協働し、3研究室で取り組みました。

ウォーカブルとはそもそも何なのか?について指標や、神田ならではのウォーカブル実現に向けた調査や提案についてビジュアルとともに紹介しています。

本研究は令和3年度千代田学事業に基づくこれらから神田ウォーカブル実現に向け、内神田・錦町エリアをスタディ対象とし、神田ならではのウォーカブルの検討を行うリサーチスタディです。

本研究対象地である内神田・錦町エリアは、商業やオフィス機能が集中し、神田駅を中心とする飲み屋街や商店街が栄える一方、コロナ禍におけるリモート化・少子高齢化などの影響を受け、新たな目的地や居場所としての機能が求められています。また、現在エリア内各所で再開発を計画していることから、今後増加が見込まれる多様な属性の人々の交流を促し、職住環境を向上させる必要があるため、本研究実施に至りました。

1.ウォーカビリティ調査

海外文献を用いて、国際的ウォーカビリティ基準に沿って土地利用やファサード調査を行い神田の街路におけるウォーカビリティ向上に必要な要素や改善点を明らかにしました。また、神田独自のウォーカビリティを測る項目として、都市文脈やヘルスケア施設を含めたウォーカブル・ダイアグラムを作成し、これに沿ってウォーカビリティ向上に寄与する要素を分析しています。

ウォーカブル・ダイアグラム(画像左)と神田ウォーカブルダイアグラム(画像右)

建築ファサード

内神田エリアでは、東西方向の通りに良好な活気あるファサードがみられました。外堀通りと本郷通りに挟まれる内神田1丁目エリアの範囲では北側に比較的良好なファサードが並んでいます。

一方で、錦町エリアはオフィスビル等の低評価のファサードが目立ちます。飲食店が少ないため、オフィスを中心として活気のない通りが形成されており、建物低層部の活用法が課題であると考えられます。

ファサード調査結果

土地利用

内神田エリア、錦町エリアの土地利用状況を調査するために、建物用途(オフィス、住宅、教育機関、医療機関、公共交通機関、等)及び駐車場の位置を把握しました。内神田エリアでは、神田駅周辺に教育機関や医療機関がみられます。

また、駅の付近にある建物1階を商業として利用していることから、全体的に快適性のウォ―カビリティが高いといえます。一方で、南北の通りに多く駐車場が分布することから、東西の歩行者動線が阻害される可能性があり、安全性のウォーカビリティが低い可能性のあるエリアがみられました。

錦町エリアでは、オフィスビルや住宅が多く、内神田エリアと比較して、飲食店等の商業店舗が少なく快適性のウォーカビリティが低いことが示されました。また、内神田エリアと比較し駐車場出入口が錦町エリア全体に分布することから、安全性のウォーカビリティが低いことが考えられます。

土地利用調査結果

以上のような調査を実施し、土地利用から内神田エリア、錦町エリアのウォーカビリティを検討しました。

2.Park(ing)Day2021神田におけるアクティビティ調査

2021年10月20日(水)に、路上空間を滞留空間へ変える社会実験である、Park(ing)Day2021神田(詳細はこちら)を実施しました。

本研究ではPark(ing)Day2021神田で行われたアクティビティ調査を通じて、利用者の行動特性を明らかにするために、Park(ing)Day2021神田実施場所に滞留する人、周囲を歩行する人の行動を調査しました。

内神田エリアでは、酒樽を周辺用いて文化体験ができる空間を創出したことから、酒樽周辺で立ち話をする人、会話しながらワークショップに参加する姿が多くみられました。

内神田エリアにて酒樽の周りで話す人
内神田エリアにて風鈴の絵付け体験をする人々

一方で、錦町エリアでは、路上にハンモックや芝を引いてお昼寝ができる空間を創出したことから、芝生に座って食事する人や、植栽のそばで寝そべる人が多く見られました。

錦町エリアの芝生の上で寛ぐ人々
錦町エリアの椅子で寛ぐ人々

調査結果より、複数人で行う体験型の企画が滞留空間の創出に有効であること、休む場に対して緑が大きな役割を果たすことが示されました。

続いて、Park(ing)Day2021神田実施によって、周辺エリアの利用者行動にどのような影響がみられたのかを分析するために、アクティビティスキャン調査により、歩行者の行動、属性、姿勢を調査し、平常時と実施時で比較しました。ほとんど全ての通りにおいて歩行者の増加がみられました。また、歩行者行動に着目すると、「会話」が増加したことが分かります。

平常時とPark(ing)Day2021神田実施時の行動比較

Park(ing)Day2021神田実施により、利用者同士の交流が増加したことが考えられます。

Park(ing)Day2021神田実施場所の滞留行動の実態

3.提案

調査結果をもとに、神田ウォーカブル実現に向けて、快適性や楽しさ向上を目的とした公共空間活用を提案します。

パークレット

段階的な街路活用として路上にパークレット(車道の一部を転用し仮設物を設置するもの)設置を提案します。STEP1~3の三段階で仮説的な商業目的の滞留空間から始め、最終的には住民・来街者双方に向けた常設の滞留空間を設けることを計画しています。

パークレットの提案

公開空地

今後の建築物の建て替えなどの更新や再開発により、創出可能性のある公開空地を検討します。神田には日陰や休む場所が不足しているという課題から、食事、休憩、ワークスペースの3種類を設けることを提案します。
これらの公共空間活用によって、歩行者の目的地をつくり、回遊性や快適性向上が期待できると考えます。

公開空地の活用提案

報告書はこちらからダウンロードできます。ぜひご覧ください。

報告書 

執筆者 森本

 
 
 
 
 
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