PROJECT

ワークショップ

#WS08 2025年度日本建築学会 学生と地域の連携によるシャレットワークショップ ー大牟田市中心市街地のまちづくりデザインを考えるー 

2025.11.15
集合写真


2025年9月3日〜9月7日、一般社団法人日本建築学会住まい・まちづくり支援建築会議(教育普及部会)主催のもと、「2025年度日本建築学会 学生と地域の連携によるシャレットワークショップ ー大牟田市中心市街地のまちづくりデザインを考えるー(以下、シャレットワークショップ)」が福岡県大牟田市で開催されました。日本大学含む14校の大学・高等専門学校、33名の建築・都市系を学ぶ学生が全国から集まり、日本大学からはM1の原田夏実さんと山本夏海さん、B4の植田智大さんが参加しました。また学生に対して、全国各地から大学教授をはじめとした専門家など、建築・都市計画系の最前線で活躍する14名の講師が集まり、非常に豪華な体制で行われました。 

講師陣 
野原卓(横浜国立大学)、正木哲(有明高等専門学校)、阿部俊彦(立命館大学)、岡絵理子(関西大学)、北原啓司(弘前大学)、黒瀬武史(九州大学)、小林剛士(山口大学)、小林正美(明治大学)、志村秀明(芝浦工業大学)、高橋潤(アルキメディア設計研究所)、野澤康(工学院大学)、野嶋慎二(福井大学)、三輪律江(横浜市立大学)、藪谷祐介(富山大学)

2024年度のシャレットワークショップ参加の様子はこちら 
2023年度のシャレットワークショップ参加の様子はこちら 
2022年度のシャレットワークショップ参加の様子はこちら

対象地区:福岡県大牟田市 
福岡県大牟田市は、有明海沿岸の九州の中心部に位置し、江戸時代より石炭産業によって栄えた鉱工業都市です。日本最大の炭鉱である三池炭鉱をはじめ、「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録された多くの遺構や、大蛇山まつりなどの文化遺産を有しています。現在も鉄鋼、化学、自動車など複数の産業が集積し、日本有数のものづくりの街として知られています。また、公害を克服した経験から環境配慮型の都市づくりを目指しています。一方、中心市街地では、新駅の整備とともに商店街が整備されたことで栄えましたが、基幹産業の規模縮小とともに、百貨店の撤退・閉店、空き店舗の増加しました。そのような状況の中、空き店舗のリノベーション事業や未来ビジョンの作成、アーバンデザインセンター(UDC)の開設等のまちなか再生の取り組みが進められており、将来に向けたまちづくりが期待されています。 

シャレットワークショップの詳細 
1日目(9月3日):まちあるき
一般社団法人アーバンデザインセンターおおむたの方から大牟田の歴史及びまちづくりについてのレクチャーを受けました。その後は、シャレットの対象範囲の説明を兼ねた案内がありました。まちあるき後は6グループに分かれ、まちの印象や評価・改善ポイントをまとめ、全体に共有しました。 

まちあるきの様子

大牟田市中心市街地を中心にリノベーション事業を行う地元企業の方から説明を受けている様子

 

2日目(9月4日):グループ決め
5つのテーマごとにグループを組み、グループワークを通してピンナップ(成果報告)にて提案の方向性を議論しました。 
・大牟田駅周辺空地(JR貨物、シティーコート) 
・市役所周辺(現庁舎、公園) 
・フィッシュボーン(大牟田駅から新栄町駅の全域) 
・新銀座+大牟田川+炭鉱鉄道(東西接続) 
・新栄町+再開発周辺(駅の陸橋化、東西接続) 

ピンナップの様子

3日目(9月5日):中間発表会
地域の方々へ向けて提案の方向性を発表する中間発表を行いました。地域住民の皆さんから質問や貴重なご意見をいただき、これらをもとに最終発表会に向けた議論を重ねました。

中間発表にて提案を行う様子

4日目(9月6日):最終発表会に向けた作業
中間発表会の意見を踏まえたブラッシュアップを行い、各班が提案内容を詰めていくことに加え、プレゼンテーションボードや模型制作などのアウトプット作業に励みました。 

講師と議論をする学生たちの様子

5日目(9月7日):最終発表会
大牟田市長の関好孝氏や一般社団法人アーバンデザインセンターおおむた職員、大牟田市商工会と地域住民の皆さんを招き、最終発表を行いました。 

最終発表会の様子


以下、都市計画研究室(泉山ゼミ)の学生が関わった3つのグループの提案を紹介します。
 
【大牟田駅周辺空地(JR貨物、シティーコート):すきまち ーまちのスキマを活かして好き間をつくるー】 
提案者:植田 智大(日本大学)、宮本 拓実(山口大学大学院)、臼井 裕理(富山大学)、岩切 麻衣(九州大学)、東尾 啓(関西大学)、増田 響(有明高等専門学校)、岩瀬 琴音(明治大学) 

JR大牟田駅と西鉄大牟田駅から成る本敷地周辺は駅の利用者が多様な目的を持って訪れる点や交通アクセスが良いといった点から高いポテンシャルを持った敷地となっています。一方で、待ち時間等に過ごせる居場所が駅周辺に存在せず、廃路線が未利用空間となっており「駅のスキマ化」といった課題が挙げられます。そこで廃路線に着目し、駅のスキマを活かして人それぞれの「好き間」にしていくことを軸に提案を行いました。 

廃路線を緑地化し滞留できる空間の創出、大牟田で積極的に行われているリノベーションと絡めたポップアップ施設の設置、アーバンスポーツ施設や子ども図書館といった多様な人々がそれぞれの居場所や自分を表現できるような空間を創造する案としました。 

提案パネル1枚目(大牟田駅周辺空地)

 

提案パネル2枚目(大牟田駅周辺空地)

 

【フィッシュボーン(大牟田駅から新栄町駅の全域):編・牟田 ー多様な側面を編み込むまち、大牟田ー】 
提案者:原田 夏実(日本大学大学院)、増山 光(九州大学大学院)、石井 航太(工学院大学)、村上 裕菜(立命館大学)、前田 梨湖(有明高等専門学校)、東條 康資(芝浦工業大学) 

対象である大牟田駅、新栄町駅間のエリアは、特徴的なアーケードを有する商店街や街の活性化を目的とした企業や地域住民の活動拠点、川や公園といった自然など様々な魅力があります。しかし、車社会の定着や歩行者の滞在時間の短さ、訪れる目的が限定的であることを要因としてまちなかに人がいないという課題がありました。そこで、本来エリアが持つ特性を通りごとに強化し、各通りの魅力を編むようにつなぐことで、人々が訪れたいと感じる空間を面的に計画し、まちなかに人々の活動が表出ための提案を行いました。 

アクションとして➊新たなモビリティの導入・ポートの設置、➋様々な魅力を持つ軸の魅力向上、➌空地・広幅員道路・空き家活用を掲げ、人々の活動を編む仕掛けを提案しました。 

提案パネル1枚目(大牟田駅から新栄町駅の全域)

 

提案パネル2枚目(大牟田駅から新栄町駅の全域)

 

【新栄町+再開発周辺(駅の陸橋化、東西接続):てくてく楽しい・えらべる暮らし】 
提案者:山本 夏海(日本大学大学院)、中川 直央(大阪大学大学院)、栗林 大兼(九州大学)、吉本 怜真(大分大学)、中西 亮太(富山大学)、安東 美葵(有明高等専門学校)、阿久津 結伊(工学院大学) 

対象であるJR新栄町駅周辺において、駅の西側は比較的交通量が少なく今後再開発が予定されているエリアと人が殆ど歩いていない商店街があり、東側は車中心で大型ショッピングモールなどが建てられています。しかし東西が駅で分断され東側に人が集中し、エリア一体のポテンシャルが発揮されていない課題がありました。 

ここで分断された駅の東西をデッキで繋げて人の往来を生み出し、西側の再開発エリアに広場を整備し商店街空きテナントの自由な暫定利用を促すことで、東側の利便性と西側の歩いて楽しい「新栄町らしさ」も享受できる多様な暮らしがもたらされる再開発のあり方を提案しました。 

 提案パネル1枚目(新栄町+再開発周辺)

 

提案パネル2枚目(新栄町+再開発周辺) 

地域との交流 
今回のシャレットでは、地元の方と交流する機会が多いことも魅力のひとつです。特に今回は地元の方々でもある有明高等専門学校の学生が参加しました。各日の発表会だけでなく、初日の親睦会と最終日の夜に行われた懇親会では大牟田で生まれ、大牟田に育ち、大牟田を愛している地元のみなさんと過ごすことで、大牟田の新たな魅力を発見できる場となりました。 

親睦会の様子

懇親会の様子

他大学の学生や講師陣との交流 
シャレットの最大の魅力は普段はなかなか交流することのできない他大学の学生や講師陣が日本各地から集まることです。性別、学年、専門性などが異なる学生や講師が集まることで、新たな知見を得ることができ、活発な議論が行われます。特に2025年度のシャレットは例年に比べ学年が幅広く、最年少はB1の学生からの参加もありました。このように幅広い属性が集まることで視野が拡がり、提案の幅が広がるのもシャレットの魅力です。また、学生だけでなく多くの講師の方々と議論できるのもシャレットならではの魅力です。毎日行われるエスキスでは、多様な分野の視点からの意見によって、各班の提案を深めることができました。結果として、最終提案では自分たちの案に厚みを持たすことができ、各班が地域住民の方々に愛されるような提案をできたと思います。 

以上のように、地元の皆さんや他大学の学生、講師陣と積極的に意見交換を行うことで熱意を持って取り組めたシャレットとなりました。

最終発表前に講師と議論する様子
M1:原田夏実
   山本夏海 
B4:植田智大 
写真撮影:三栗野鈴菜

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